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ラム RUM

 

ラムは、カリブ諸島で生まれた、さとうきびから造る無色または褐色のスピリッツです。さとうきびから砂糖を作った残りの糖蜜やさとうきびの搾り汁を、水で薄めてから発酵し、蒸留器で蒸留します。ジャマイカなどで造られる風味が強い「ヘビータイプ」は、発酵液を単式蒸留器で数回蒸留したのちに、内側を焦がしたホワイトオークなどの樽で数年間熟成します。キューバなどで造られる風味が軽い「ライトタイプ」は、発酵液を連続式蒸留器で蒸留し、そのまま瓶詰めします。「ミディアムタイプ」はのヘビーとライト中間の風味になります。ラムを色で分類すると、「ホワイト・ラム」と「ゴールド・ラム(ダーク・ラム)」に分かれます。

 

 

 

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2010年5月25日 (火) 16:13版(UTC)

歴史

発祥はバルバドス島とされる。島の住民たちがこの酒を飲んで騒いでいる様子を、イギリス人が rumbullion (デボンシャー方言で「興奮」の意)と表現したのが名の由来だとされる。発祥はプエルトリコ島とする説もあるが、いずれにしてもカリブ海原産ではあるようだ(カリブ海の海賊たちの物語の中に登場するお酒といえば、これである)。 その後、サトウキビ栽培地域の拡大に伴いラムも広まっていき、南北アメリカやアフリカでも作られるようになった。また、他の地域でも、ラムの原酒を輸入して熟成を行った上で出荷するということも行われるようになった。

さて、ラムは、比較的イギリスと関係の深い酒である。かつてイギリス人は、ラムのことを「憩いの水」とも呼んでいた。これは、1609年にジョージ・サマーという者の船がバミューダ島に向かっていた折、ハリケーンに遭い難破しそうになるということがあり、この時、船の乗組員は死の恐怖に直面したが、ラムを飲んで心の平穏を保ったことに由来するという 。

18世紀になるとラムはイギリス海軍の支給品となった。当時の軍艦の動力である、蒸気機関のボイラー室のような火を扱う場所で働く者が、高い室温に負けないようにするためにラムを飲ませていたと言われる 。 したがって、イギリス海軍の全ての軍艦に、ラムを入れた樽が積載されていた。当初はラムをストレートで与えていたが、ラムは強い酒だったため、1742年にエドワード・バーノンという提督が、ラムと水を等量ずつ混合して作った水割りのラムを支給するように命令した。当初、この薄いラムは部下達に不評であった。 部下たちは、この薄いラムのことを、グログラム(グロッグラム)という生地で出来たコートを着ていたバーノン提督のあだ名から、ある種の恨みを込めて「グロッグ」と呼ぶようになった。しかし、18世紀末ころまでには、むしろグロッグの方が好まれるようになったと言われている。 なお、2010年現在でも水割りラムはグロッグと呼ばれ、泥酔することはグロッギーという。日本で使われるグロッキーという言葉は、このグロッギーが訛化したものである。

1805年のトラファルガー海戦で戦死したホレーショ・ネルソン提督の遺体は、腐敗を防ぐためラムの樽に漬けてイギリスに運ばれた(と伝承されている)。このラムは、ダーク・ラムであったため、以降ダーク・ラムのことを「ネルソンの血」と呼ぶようにもなった。しかし異説もあり、それによると、ネルソン提督の遺体の保存のために使用されたのは、ラムではなくブランデーであったとも言いわれるが 、ブランデーは「ネルソンの血」と呼ばれることはない。

ちなみにそのネルソンを漬けたラムを水兵たちが盗み飲みしてしまったため、帰国の際には樽は空っぽになっていたという逸話や 、ラムを飲んだのはイギリスに到着してからであり、ネルソンの遺体を保存するという役目を果たした後のラムであったとも言われる。

それから、アメリカがキューバを侵略した時に、アメリカ兵がラムをコーラで割るという飲み方をした。このラムをコーラで割ったものは、キューバ・リブレ(Cuba libre, 英語ではキューバ・リバー、スペイン語ではクーバ・リブレ)と呼ばれるカクテルの1つである。 コーラ割りというラム飲み方は、ラムの水割りであるグロッグと共に、ラムの主要な飲み方1つとなった。

その他の利用としてケーキ、タルトなど焼き菓子の風味づけに多用される。紅茶の香り付けに少量加えることもある。また、アンゴスチュラ・ビターズのように、ラムをベースとするリキュールも複数存在する。

日本では明治頃から小笠原で飲まれており、1992年に東京都小笠原村の役場・農協・商工会が小笠原ラム・リキュールという会社を設立し母島でラムが生産されている。

英サンデー・ミラー紙によると、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの大ブームのおかげで、英国ではラムが飛ぶように売れ、バーでもモヒート、ピニャ・コラーダ、マイタイ、キューバ・リブレといったラムベースのカクテルが好んで飲まれ、ダーク・ラムの消費量は前年比31%増という驚くべき数字を叩き出したという。


分類

色による分類

・ホワイトラム(無色)

・ゴールドラム(薄い褐色)

・ダークラム(濃い褐色)

 

風味による分類

・ライトラム(軽い芳香)

・ミディアムラム(中間的な香)

・ヘビーラム(強い芳香)

 

原料による分類

・インダストリアルラム(工業ラム) - 廃糖蜜を原料としたもの。

・アグリコールラム(農業ラム) - サトウキビの搾り汁から直接製造したもの。

※香辛料などで香り付けを行った、スパイスドラムと言うものもある。

 

製法

原料別の製法の違い

「インダストリアル・ラム」(工業ラム) は、サトウキビの搾り汁から砂糖をとった後に残る廃糖蜜を醗酵させてできた醸造酒を蒸留し、エタノールの濃度を高めてから熟成させることによって作られるもので、こちらの製法が一般的である。なお、廃糖蜜のことをモラセズ(Molasses)と呼ぶため、モラセズ・スピリットとも呼ばれる。

対して「アグリコール・ラム」(農業ラム) は、サトウキビの搾り汁を、そのまま醗酵させてできた醸造酒を蒸留し、エタノールの濃度を高めてから熟成させることによって作られるものである。

なお、サトウキビから精製された糖蜜を原料とすることもある。

いずれの方法においても、エタノールの濃度を、製造段階で一旦80%程度に濃縮することが多い。ただし最高でもエタノールは95%未満にまでしか濃縮しない。(もしここで95%以上にまでエタノールを濃縮してしまうと、中性スピリッツになってしまう。)蒸留による濃縮後、熟成させる前に加水することもある。

熟成後は通常加水され、だいたいエタノールの濃度が40~50%くらいになるようにして出荷される。高いものでは75.5%で出荷されるものも存在する。

 

風味別の製法の違い

「ライト・ラム」と「ミディアム・ラム」と「ヘビー・ラム」では、製法が異なる。

「ライト・ラム」は、糖蜜と水を混ぜ純粋酵母醗酵させて醸造酒を作り、それを連続式蒸留器で蒸留したもので、比較的高濃度にまでエタノールを濃縮することで雑味を減らしてゆく。その後、内側を焦がしていないオークの樽で短期間熟成される。樽熟成のままだとゴールドラムに、熟成後に活性炭で濾過するとホワイトラムになる。

「ヘビー・ラム」は、糖蜜や廃糖蜜などを自然発酵させ、その後サトウキビの搾りかすや前回の蒸留後に残った蒸留残液などを加えてさらに醗酵させて醸造酒を作り、それを単式蒸留器を使い蒸留したもので、内側を焦がしたオークの樽 (バーボン・ウイスキーを熟成させた樽を用いる事も有る) などで熟成させる。3年以上熟成されダークラムになる。

「ミディアム・ラム」は、糖蜜を自然発酵させて醸造酒を作った後に、場合によってはサトウキビの搾りかすなども加え、それを連続式蒸留器か単式蒸留器で蒸留した後に熟成させるという中間的な製法と、ヘビーラムとライトラムをブレンドする方法がある。したがって色は様々である。

なお、ヘビーラムやミディアムラムでは、琥珀色を出す為に着色料(カラメル)を添加して作られる製品もある。特にヘビーラムでは色が濃い方が質が良いと誤解されている地域もあるため、過度の着色をされる場合がある。

エタノール濃度に関しては、『原料別の製法の違い』の項と同様である。

 

その他の製法

「スパイスド・ラム」と言って、バニラなどの香辛料で香り付けを行ったものもある。スパイスドラムは比較的出荷時のエタノール濃度が低いものがあり、30%台のものもある。なお、スパイスドラムはフレーバーラムとも呼ばれる。

また、他のタイプのラムにも何らかの香りを付けることもある。

 

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